うるしの里会館を訪ねる Vol.129~132

「うるしの里まつり」

ゴールデンウィークに毎年開催される「うるしの里まつり」は、今年で17回目をむかえ、 5月3日、4日と鯖江市越前漆器伝統産業会館(愛称:うるしの里会館)にて盛大に行われました。
開催期間中は、越前漆器のおこりと関係が深い継体大王と荻田姫を乗た「子ども山車曳き」が町内を練り歩き、 伝統の太鼓演奏や餅まき、踊りのパレードなどがにぎやかに行われました。 また、会場にて産地直売価格で漆器の即売会が行われることから、今年も県内外から大勢のお客様が訪れました。
漆器をまつるイベントは戦前から行われており、産地内にある片山町の八幡神社および河和田町の敷山神社境内の「漆器神社」にて、 春の田植えが終わるころに行われていました。昭和30年頃から神社の参道で町内の有志により漆器の即売がはじまり、 その後、昭和44年に新築された河和田町会館に販売会場を移した頃から県内外のお客さまで大賑わいになりました。 越前漆器が伝統的工芸産地の指定を受けて昭和55年に伝統産業会館が新築されたのを期に、新会館にて河和田町、 片山町をはじめ地域全体がまとまって「漆器まつり即売会」をすることになり、現在にいたっています。

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「漆器への理解を深める場所」

鯖江市越前漆器伝統産業会館(愛称:うるしの里会館)は、JR鯖江駅から車で約20分、 越前漆器の産地である鯖江市河和田地区の中心に位置しています。
会館では、パネルや模型を使いながら漆器の工程、漆器の歴史、道具、優れた技法や作品の紹介、 漆の色や素材のことなどを、幅広い角度からわかりやすく紹介しています。
伝統工芸士による実演コーナーもあり、職人の工房を訪ねなくても作業風景を間近で見ることができます。 百聞は一見にしかずと言いますが、お客様にとっては、短時間で漆器の全体像見て、 理解を深めることができる魅力的な施設となっています。
つくり手の立場では、前回紹介した「うるしの里まつり」以外にも、定期的に開催される企画展への出品、 漆器組合の活動やさまざまな会議、研修に参加するなど様々な形で会館を利用しています。また、 私どものところにはじめて商品を探しにいらっしゃったお客様には、自社の完成した製品を見ていただくだけでなく、 できる限り「うるしの里会館」にご案内して、漆器の全体像を把握していただくようにしています。 完成品では見えない部分を深くご理解いただくほど、お客様にとっての製品価値が驚くほど変わるのが漆器の特徴です。

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うるしの里会館 アクセス地図

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「当社おすすめポイント~製作工程のコーナー」

うるしの里会館を訪ねると、漆器を理解するための様々な見どころがありますが、 当社のおすすめポイントは「製作工程」に関するコーナーです。
一般的にお客様の関心が高いのは「漆器がどうやって作られているのか?」という部分です。 お客様からは時々「この器は何回漆を塗っているのですか?」というご質問をうけます。 漆を塗る回数が多い=漆器の価値が高いというイメージがあるようですが、実際に漆器の価値を判断するには、 回数のことだけでなく、どういう工程をたどって完成したかという細かい中身も大切になります。
うるしの里会館では、工程順にならべた半製品の漆器のサンプルや、工程ごとに異なる職人の作業風景の模型を使って、 漆器の製作工程の中身を一目でわかりやすく説明しています。 さらに、第一線で活躍中の職人による実際の作業風景を会館内でのぞくことができる 「実演コ-ナー(日替わり)」もあります。
漆器の製作工程をご理解いただくと、漆器の価値を判断するための見方がかわります。 産地にて伝統的な漆器のご購入を検討されているお客さまは、ぜひ一度、短時間で製作工程を把握できる 「うるしの里会館」へのご訪問をおすすめいたします。

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「当社おすすめポイント~素材コーナー」

うるしの里会館内での当社おすすめポイントとして「素材」に関するコーナーがあります。 前回ご紹介した「製作工程」とあわせて、漆器の価値を決めるのが「素材」です。大きくわけると、 器の原型となる素地部分と、塗装部分になります。
素地については、お椀によく使われるトチ、ミズメ、ケヤキ、重箱などに使われるホウ、 カツラなどが木材の状態でサンプル展示されています。漆器として製品化される前の木の状態に直接触れることができます。 他にも業務用漆器などで利用される合成樹脂素材の工程について詳しく説明されています。
一方、塗装についても、代表的な塗り仕上げの手法(摺り漆、溜、蝋色、刷毛目など) や漆の色の種類について比較しやすいように整然と並べられた実物サンプルがあり、こちらも自由に触れることができます。 店頭に並ぶ商品になると指紋や傷が気になってなかなか触らせてくれないことが多いので、 しっかり触って感じることができるのは、うるしの里会館ならではのことです。 また漆の色というと黒や朱のイメージが強いですが、白、黄色、緑などの漆があること、 同じ漆の色でも艶の高いものと艶を抑えたマットなものがあることなどがわかりやすく説明してあります。 百聞は一見にしかず、是非、うるしの里会館にお越しください。(山本泰三)

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うるしの里会館/越前漆器協同組合公式ホームページ