当社は1930年(昭和5年)、初代 木村甚松に師事して漆塗り(丸物)の技能を習得した山本久太郎(1909‐1995)が創業しました。翌年の満州事変に始まり、世の中が日中戦争、太平洋戦争へと突き進むなか、漆器の需要は激減しその船出は多難を極めるものでした。当社を含む複数の産地メーカーが「漆器組合」としてこの難局打開に奔走、1938年(昭和13年)に造幣局より兵士に授ける勲章箱の受注下命を受けました。また1942年(昭和17年)には供出による金属不足を補うため木製食器の需要が生じ、海軍組織より丼椀・盛り皿・湯呑の3点セットを受注しました。
創業者・山本久太郎は、産地の存亡・生産力維持のため有志と福井軍需製品株式会社を設立し(戦後に解散)、販売に力を尽くして混乱の時代を乗り越えました。戦後は復興に伴い順次注文が入るようになり、1950年(昭和25年)の朝鮮動乱をきっかけに漆器の需要が高まり、現在の基盤を構築しました。